皆さんこんにちは。
東工大ScienceTechno 3年の妹尾です。
この記事では2020/01/25に大田区洗足区民センターで行ったホバークラフトの工作教室についてお伝えします。
今回の教室のテーマは「摩擦」です。
みなさんも一度は2冊の本のページを交互に重ねると本が抜けなくなる、あの実験を見たことがあるのではないでしょうか?
「なんで本が抜けなくなるの?」と聞いてみると、「紙が触れている面積が大きくなるので、小さな摩擦力が足し合わされて強い摩擦力になる」という答えをよく聞きます。
でもこれは本当に正しいのでしょうか?今回の教室では、この答えを確認するためにはどうやって確かめれば良いのか、科学の考え方を体験してもらいました。
硬い板の上で尖った足のおもりと平たい足のおもりを引っ張ると、実は同じ力の大きさで滑り始めます。また上に乗っているおもりの重さを2倍にすると、2倍の力で引っ張ったときに滑り始めるようになります。
実験を通じて、「摩擦の大きさは触れている面積によらず、上から押しつける力の大きさによって決まっている」という事実を確かめてもらいました。
教室の後半では実際にホバークラフトを作ってもらいました。
今回の工作は力を入れすぎると変形してしまう難しい作業がいくつかありましたが、みなさん上手く組み立てていて、よく動くホバークラフトを作ることができました。
私事で恐縮ですが、今回の教室をもって私が東工大ScienceTechnoで講師を行うのは最後となりました。
思い返してみると私が科学の世界に魅せられて、この道を選んだきっかけは8歳のときに父親に連れられて行った「青少年のための科学の祭典」でした。そこでは地元の大学の先生が偏光板を重ねるとなぜ光が通らなくなるのか、3枚目の偏光板を間に入れるとどんな不思議なことが起こるのか、小学2年生の私に対して面白そうに説明してくれました。
「小学生だから難しいことは分からないだろう」と子どもだましの説明が多いなかで、「この現象は本当に面白いから見てくれ!」としっかりとした子供向けの説明をしてくれた、あの瞬間があったからこそ今の自分があるのだと思います。
私もあの時のような、科学の面白さに気付いて自分からいろいろなことが知りたくなるような瞬間を皆さんに届けたいと思い、この3年間の教室では子供だましを一切含まない、自分も本当に面白いと思える教室を提供してきました。もしサイテクのイベントで科学の面白さに触れて、自分ももっといろいろなことを知りたい、研究してみたいと思ってもらえると幸いです。
東工大ScienceTechnoでは他にもたくさんのイベントを行っています。
皆さんぜひご参加ください。